これから製作する本

12月の新本
 
『ミラクル三年、柿八年』 かんべむさし著 小学館文庫 400ページ
 
二〇〇五年一月、作家「かんべむさし」は一通のメールを受け取る。
AMラジオ早朝ワイド番組のパーソナリティを、月曜から金曜までの毎日担当しないか、という依頼だ。
しかも裏番組は二つとも三十年続く大物の人気番組。
作家活動との両立は可能なのか、作家的な発想と思考を、朝のワイド番組でどう生かすのか。
スタッフたちとの試行錯誤の日々が始まった。
そして作家は、活字人間と電波人間の気質の違いを痛感しつつ、刺激に満ちたラジオの仕事に熱中する…。
ユーモラスで軽妙な会話と柔軟で緻密な思考が、爽やかな朝の空気の中でざわめく、意欲的書き下ろし長編。
 
 
『五声のリチェルカーレ』 深水黎一郎著 創元推理文庫 288ページ
 
昆虫好きの、おとなしい少年による殺人。
その少年は、なぜか動機だけは黙して語らない。
家裁調査官の森本が接見から得たのは「生きていたから殺した」という謎の言葉だった。
無差別殺人の告白なのか、それとも―。
少年の回想と森本の調査に秘められた“真相”は、最後まで誰にも見破れない。
技巧を尽くした表題作に、短編「シンリガクの実験」を併録した、文庫オリジナル作品。