ネットワークを使った録音図書製作システム「びぶりお工房」

平成17年4月から、株式会社サン・データセンターに協力して開発を行ったインターネットの仕組みとパソコンを使った「録音図書ネットワーク製作システム(びぶりお工房)」の運用を開始しました。
このシステムの第一の目的は、録音図書の製作期間の短縮を実現することです。このシステムを使い録音図書を迅速に製作し、更に「ネットワーク配信システム(びぶりおネット)」とリンクすることで利用者に図書を短期間で提供できるにしようというものです。

1.システム開発の必要性
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これまで録音図書1タイトルの製作には20週から25週の期間を要していました。この製作期間を短縮することが極めて重要な課題でした。
その解決方法として、製作中の録音データを朗読者、校正者、製作施設が製作施設内に置かれたサーバ上で共有し、製作に係わる作業等(製作指示、朗読、校正)を同時平行的に行なうことのできるシステムを開発しました。
また、上記製作方法で完成した録音データは、DAISY図書化の後、すぐさま「ネット配信」にアップすることで、利用者への情報提供に要する時間は大幅に短縮され、サービス環境が画期的に改善されるというものです。

▲瓮妊アに依存した製作、サービスからの脱却
録音図書の製作には、MOディスクを録音メディアとして使用しています。またサービスは、テープ、CDを利用者へ郵送する方法でこれまで提供してきました。この製作方式は40年余りの蓄積の中で、完成されたシステムではありますが、物理的には既に限界であり、サービスの提供もスピーディーとは言いがたいものでした。
一方、インターネットを使ったメディアに依存しない「録音図書ネットワーク製作システム」の実現は、製作期間の短縮、即時利用の実現に留まらず、サービス面においても同一図書の同時複数利用を可能するなど、先有者の返却待ちという蔵書メディア数の制約からも解放されることに繋がるものです。

4礼枯寝撒 淵セットデッキ)の代替として
もう一つ、製作施設、朗読ボランティアの差し迫った問題として、カセットデッキ、テープメディア等のアナログ製作システムの消滅が現実のものとなりつつあります。その備え、ないし代替システムの一つとして、パソコンを録音機として使用するためのソフトウエア「Recdia」の開発を行いました。

2.システム概要
従来の製作システムでは、製作作業のそれぞれを録音メディアの移動と共に直列的に処理をしていました。この直列的な作業方法が製作期間を長期化させる要因の一つでもあります。またスタジオでの録音には開館時間や予約制に加え、自宅とスタジオの移動など、時間的制約もありました。
それに対し、ネットワークを利用する製作方式では、作業に係わるスタッフがそれぞれの作業を異なる場所に居ながら同時平行的に進めることができ、そのことで製作期間を短縮することが可能になります。朗読、校正作業とも担当者それぞれの都合によって、自由な時間に作業を進めることがきるものです。
システムは、製作拠点に設置されたサーバPCと、朗読者、校正者が使用するクライアントPCが基本となります。
朗読者と校正者側のパソコンには、録音と校正作業のための機能を持つ、録音・校正用ソフトウエア「Recdia」をインストールすることになります。朗読者がパソコンで収録した音声データは、インターネットを経由して製作施設内のサーバに蓄積され、一方、校正者側のパソコンでは、施設内サーバからインターネットを介して録音が終了した音声データをダウンロードして校正作業を行なうことができます。
朗読・校正依頼、下調べ表・校正表の作成記入等の進捗管理や完了報告など、朗読者、校正者、製作施設の3者間で行なわれる情報コミュニケーションもインターネットのWeb上で処理することを目的に、製作管理グループウエアソフト「Virtual Studio」を用います。下調べ表、校正表等の情報も一元化されたデータとしてサーバに蓄積し、情報を共有することができます。これにより全ての作業がインターネットを通じて行なうことが可能となり、製作作業の効率化とスピード化を実現できました。

3.普及と実用化がもたらすもの
このシステム及び、ソフトウエアは開発完了後商品化され、既に録音校正用PCソフトウエア「Recdia」は多くの関係者の知るところです。今後も製作施設、及びボランティア団体、個人に使用していただきたいと願っています。
将来的には全国の視覚障害者情報提供施設、ボランティア団体との間でこのシステムを使った製作のネットワーク化が実現できれば、所属施設や団体と言った地域コミュニティーに捕らわれない製作環境を実現したいと願っています。